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Home 相談員のコラム 相談員コラム…水に落ちた犬 東京電力

PostHeaderIcon 相談員コラム…水に落ちた犬 東京電力

4月24日、前回紹介した“さわかみ投信”の勉強会に参加した。直販の投資信託の草分けで、総額2,370億円の運用をし、日経ヴェリタスの「プロが選ぶいい投信」で一位になった会社である。私自身もFPになる前から“さわかみ投信”で定期積立をしていたし、今回、原発について触れるととのことだったので、それも聞いてみたいと思い初めて参加した。

澤上社長は「私は電力産業の独占を数十年も前から批判している。今回、停電と言われているが、製造業にとって停電なんてとんでもない。企業はもう国や東電なんか頼らないで、自己防衛を始めている。実際、自家発電は40%超えているし、これからもっと増えるだろう。発電など産業構造もガラッと変わるだろう。」と興味深いことをおっしゃっていた。最後に核融合など持ち出したので「えっ」と思ったが、産業界が脱原発に向かうという話の大筋は明快であった。

前回のコラムで、東電を筆頭に原発推進派は、原発凍結という「死んだふり作戦」で来るだろうと書いた。今後、脱原発を願う人たちと原発推進派とが世論をいかに味方に付けるかの長い綱引きになるだろうと思っていた。しかし、どうも産業界全般というくくりで東京電力を見ない方がいいらしい。利害が反すればあっさり別の道を選ぶのが企業だ。表だって脱原発とは言わないけど、世界で勝負する原発関連以外の企業が「原発震災リスク」※に目覚め、基幹製造業が経済の論理で自家発電などの自己防衛に走れば、“原発”が死んだふりしているうちに本当に死んでしまうかもしれない。

「電力問題」を語るとなると、身近な家庭用電気の議論となり、「原発かローソク生活か」とい不毛な文明論的議論になりがちだ。しかし、企業の自家発電が電力の自由化に向かい、電力会社の独占が崩れれば、一昔前の「通信の自由化」のように競争が始まるだろう。そのとき、廃棄物処理も含め「安全性」を高めた巨大な原子力発電所は、もはやコスト的に太刀打ちできないだろう。そうした流れがすでに始まっているが、政府や世論はこの流れに追いついていず、情緒的な発言が多い気がする。

先日、あのサンデル教授が「推進派、反対派ともに議論を尽くそう」と呼びかけていた。確かにその通りかもしれないが、私には違和感があった。それは両者の力の差の大きさにある。電力会社は潤沢な資金力(もともと私たちが払った電気料金)を使い、地元に現金をばらまき、口をふさぐ。また、テレビコマーシャルや新聞広告で原発安全キャンペーンを流し、マスコミの反原発意見を金の力で制圧する。それに引きかえ反対派はすべて個人の微々たる手弁当だ。ビラだって1色刷りで、手渡しか新聞折り込みがせいぜいだ。世論は今まで結局どちらに付いていただろう。オマケに原発の情報はほとんど電力会社が独占していて公開しないし、平気で改ざんもする。こうした相手と品良く同じテーブルに着くことができるだろうか?

私はサンデル先生の新聞記事を読んだとき、魯迅の『「フェアプレイ」は時期尚早であること』を思い出した。最近のアンケートや選挙結果を見ても、東電の福島原発がこんな大震災を起こしても、残念ながら世論はまだ様子見している。死んだふりの東京電力は水に落ちた犬だ。いい人ぶって手を差し伸べる場合じゃあない。見捨てて先を急ぐ産業界を見よ、と言いたい。

※企業における「原発震災リスク」とは、原発事故に関する具体的な生産拠点のダメージ、放射能汚染による輸出の不利的状況、原発対応に不信感を強めている国際的イメージダウンなどのことである。

※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。