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Home 相談員のコラム 相談員コラム…津波避難ビル

PostHeaderIcon 相談員コラム…津波避難ビル

 先週、静岡の実家に帰省した。駿河湾と遠州灘の沿岸部を走る国道150号線を車で走りながら「いま津波が来たらどうする?」という話をつれあいとした。この近辺は土地が安いので郊外ではどの家もほとんど平屋、逃げる高台は遙か彼方、延々と青い水田が広がり見渡す限り高い建物はなく本当に逃げるところがない。街中にある実家でも「どうする?」と聞くと「役場に逃げる」という。でも杖を頼りの母を90歳の父が連れて役場まで行けるかというと心許ない。

 今まで浜岡原発という大きな問題を抱えていたので、うっかりしていたが、あのあたりは津波が来たらひとたまりもない。日本の低地の沿岸部はどこもそんなものかも知れないが、3月11日の教訓を生かさないでどうする、という気持ちだ。

 そんな時、8月19日の朝日新聞に「津波避難ビル基準緩和」という記事があった。津波到達前に高台や避難所に逃げるのが難しい場合の緊急避難施設で、役場や公共施設やマンション、ビル、ホテルなどを自治体があらかじめ指定する。その強度基準を東日本大震災の建物被害調査にあわせ見直し、指定ビルを増やすという計画らしい。

 もちろん大賛成だ。でも、問題はどこの自治体も予算がないこと。対象地域に民間のビルやホテルがあり、その持ち主にお願いできればベストだ。避難路や避難階段、耐震工事など補強工事費の出費だけで済む。でも「そんな洒落たビルなんかない」という所は税金を使って公共施設を建てるしかない。役場は街に一つで沢山だし、役所任せにしておくと役に立たない大きな“防災センター”をつくりかねない。

 ところで、みなさん“防災センター”の場所知っていますか? 私は自分の住んでいる地域の施設を知らない。何故かと言えば、縁がないから。まず、駅前の一等地など目立つ所にはないし、小学生なら遠足で一度は訪れるかもしれないが、普段の生活では行くことはまずない。そんな所にいざという時、緊急避難出来るだろうか?

 沿岸部に欲しいのは耐震に優れ、水圧に耐えられる鉄筋コンクリート製の20m以上のビルだ。しかも住居から自転車か徒歩で行ける近場で、かつ日常的に出入りできれはなお良しだ。“日常的に良く利用する”という点が結構重要だ。よく使われている場所なら土地勘もあるし、手入れも行き届き、すぐに使えるものだ。公共の建物なので、公共性も大事だが、図書館や公民館のみでは利用が限られる。そこでコンビニ、郵便局、診療所、デイケア施設、保育園、野菜直販所、食堂など地域が必要とし、日常の利用が見込める施設を誘致する。施設は大規模である必要はなく、小さくても数の勝負になるだろう。

 例えば、300坪の用地に7階建ての建物とする。回りには駐車スペースと公園。用地は市有地を利用し、鉄筋コンクリート製で建築費は坪単価90万円程度なので19億円。高さは1階あたり3~4mなので、21~28mとなる。1階から5階までを賃貸スペースとして貸し出し、5階から7階までを避難所を兼ねた公共スペースとする。1階にコンビニと診療所、2階に食堂、3階4階にデイケア施設、5階に保育所、6階は畳部屋の多い集会所、7階は多目的ホールや防災拠点を兼ねた自治会事務所といった具合だ。設計費も馬鹿にならないので、国交省が強度計算や耐震建築をクリアする標準案を作る。その時、できれば外装の色やデザインを全国で統一して欲しいものだ。郷土色より全国どこに行ってセイフティビルだと分かることが大事だ。もちろん中身や使い方などソフト面は実際に利用する地域の人の相談で決める。

 確かにお金はかかるが、巨大な防潮堤や山を崩し高台にするなどの土木工事の費用や自然破壊を招くことを考えると、規模が小さくすぐにでも取りかかれる。賃料も期待できるので、建設費を丸々税金でまかなわなくても、債権にするという手も考えられる。最初は施設の回りに何もないかもしれないが、施設内での雇用も望めるし、逃げる場所が近くにあるという安心感には代え難いので、住みたいという人が防災避難ビルの周囲に集まだろう。防災と生活基盤の整備という一粒で二度おいしいアイデアだと思うがいかがでしょうか?

 3月11日以降、何かしなくっちゃとみんな考えている。後藤新平がもてはやされているし、政治家はとかく大きな構想というのが好きだ。でも、復興財源を国債でやるのか、増税でまかなうのか決めかねている国民に大それた公共事業ができるだろうか? 第一、費用対効果や環境に対する影響などが検証されないまま「復興のため」の名の下に大規模な防潮堤や高台移転を推し進めていいのだろうかと思う。実際、仮設住宅に空き家が出るなど利用者との間に見られるギャップによる失敗も目立ち始めた。今は大構想ではなく、地味で小さくても地域の要望に根ざしたアイデアを結集し、出来ることから始めるしかないのではと思う。

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