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Home 相談員のコラム 相談員コラム…「ラストマネー」から生命保険を考える③

PostHeaderIcon 相談員コラム…「ラストマネー」から生命保険を考える③


 折角の生命保険会社が舞台のドラマなのに、第三回を見てがっかりだ。手垢の付いたような保険金目当ての替え玉殺人事件。今どきベタなミステリーでも、もう少し設定にリアリティがある。

 お話は、自動車修理工場の経営者が工場内で焼死する。しかも、生命保険の受取人が数ヶ月前に元妻(2ヶ月前に離婚)から愛人に書き換えられている。これと別に娘を受取人にした生命保険に加入した契約者が行方不明という事件が起こる。面倒なので結論を先に言うと、工場経営者が借金をチャラにし、かつ保険金をせしめようと企てた替え玉殺人事件である。行方不明の男はホームレスで、就職をえさに誘い出され経営者の身代わりに焼死させられていた。妻は偽装離婚し借金から逃れ、保険金は愛人が受け取るが、それを後で分け合うという算段で2人ともグルであった。

 こうした物語は細部をきちんとしないと成り立たないのだが、残念ながらあり得ない話のオンパレードで台無しだ。第一に、ホームレスにとって保険はもっとも縁遠い商品である。食べるのに困っている人が、もし大金を手にしたとして、保険を思いつくだろうか? レストランにディナーを食べに行くよりもほど遠い行動だ。なのに、このホームレスの人は5万円の支度金をもらったといって保険代理店に自ら行き、大昔に捨てた子供の為に5万円を使って生命保険に入る。あり得ない! それから、最初にナレーションで「保険会社では毎日数億円の保険金支払いをする。」といいながら、査定部に回ってきた数多い案件の中の2件の筆跡が同じと見破る。ありえない! おまけにその一つは、アパートの大家に見せてもらった契約書である。他の保険会社との情報交換も含め、個人情報保護法はどうなってるの!と思わず突っ込みを入れたくなる。

 そして、この犯罪を企てる経営者と妻、愛人の3人も保険金が相続に含まれると勘違いしていたという間抜けぶりが明らかになる(民法では保険金は相続に含まれないので、放棄してももらえる。ただし、相続税法ではみなし相続として控除額を引いた差額が相続税の対象となる)。しかし、経営に行き詰まった零細の経営者の借金というのはそんな生半可なものではない。当然、妻は借金の連帯保証人になっているし、それは離婚や相続放棄で免れない。実態を知らない軽すぎる脚本だ。

 ただ、このドラマでなるほどと思うのは、保険会社の豪華さとそこで働く人たちの横柄ぶりだ。保険会社は付加保険料という手数料で経営が成り立っている(詳しくは当サイトのお金の基本講座の保険を参照して欲しい)。この潤沢な資金で大手の保険会社は都心の一等地の高層ビルに本社を構えている。保険という目に見えない商品を売る為に、何より信用(体面)が大切と考えているようだ。

 そして、その豪華な本社で働く人たちはみな高学歴、高収入だ。ドラマなのでいい人や悪い人が出てくるが、みな一様に慇懃で横柄である。これは保険という商品の特性だと思う。売る側と買う側の知識に天地の開きがある。保険料を払い保険を買ってもほとんどの人は満期金以外保険金を手にすることはない。万が一の場合のみ請求する。つまり買うけれどもほとんど使わない商品なのだ。買う側からの請求は一生のうち何回しかないが、売る方は毎日のように請求を受ける。だから、圧倒的に売る側が“知識的”に優位となる。こうして保険金を受け取るお客さんの卑屈な態度と、“何も知らない素人が”という保険会社の担当者という構図ができあがる。これは担当者の人柄云々ではなく、商品の理解の差だと思う。

 もちろん、きれい事のイメージCMで選ぶ消費者の理解不足もある。生命保険の不払い問題についても保険会社が改善したと言っているにも関わらず、消費者センターに寄せられるトラブルは相変わらず多い。特に解約、転換、請求、告知義務違反などで、高齢者の無知につけ込んだ勧誘も多いようだ。

 私も先日、某外資系保険会社(アヒルと不気味なネコがヒントの会社)の解約を老人から頼まれ書類を送ってもらうために電話した。面白いのであれこれ聞いたが、止めさせない為のトーク集が手元にあるようで、ああ言えばこう言い、なかなか止めさせてくれない。気の小さな人は面倒になり「止めるの止めた」になるだろう。こういう場合は「じゃあ解約できないんですね。ご担当者のお名前は?」と聞けば、しぶしぶ解約の為の書類を送ってくれる。その他、告知義務違反での「言った言わない」とか解約時の不愉快な思いとか、回りでも良く聞く話だ。

 保険会社は商品の中身ではなく、イメージや雰囲気だけの大量CMで商品を売りまくり、一度取り込んだ顧客は魚の仕掛けのように逃がさず、万が一の請求時には消費者の落ち度を調べ上げ、出来るだけ保険金を出さない努力をする。保険でしか避けられないリスクもあるが、保険会社とは心してつきあうしかない。でも、伊藤英明(主人公の保険会社査察部の人)や松重豊(サングラスの調査会社の人)みたいな人に押しかけられて、上から目線で根掘り葉掘り聞かれたらいやだなあ。

 次回は面白かったら書く。たぶんないと思う。

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