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Home 相談員のコラム 相談員コラム…中島問題とフロムの「自由からの逃走」

PostHeaderIcon 相談員コラム…中島問題とフロムの「自由からの逃走」


 更新が遅くなって申し訳ありません。風邪をこじらせてしまいました。風邪って、具合悪くなって、熱が上がって2~3日で通り過ぎていくものだったのに、ゲホゲホしながら10日も風邪ひきっぱなしです。数十年ぶりに風邪をこじらせるって状態を身をもって体験中です。
 前回の連載を書いているうちに、3.11(震災から1年)も3.15(確定申告)も過ぎてしまいました。この間のニュースで、棘のように突き刺さっているのが、ワイドショーを賑わせた中島問題です。

 絶頂期の女芸人さんが占いにはまって奇行? をくり返しているうちに太り、家賃を滞納したという事件ともいえない代物で、マスコミもテレビのこちら側の人には何の実害もなく、こんなによってたかって騒ぐほどのことはないし、第一、怪しげな霊感番組を作ってきたテレビに断罪する資格はないと思います。

 しかし、私も「家賃滞納なんて個人のたいした問題じゃないんだから、ほっといてやればいいのに」と思いながらも、テレビから目が離せません。何故なのか! それは頑張ってきた女性が落ちる穴の闇の深さが何となく理解できるからです。女性、占い、洗脳というキーワードの果てにある“自分を無くした姿”を想像すると切なくなるからです。

 実際、私の回りでも占いだけでなく、ソフト宗教ともいえるヒーリング、スピリチュアル、心霊治療などに傾斜する人が本当に多い。本人が何となく信じているうちは、軽口でこちらの反応を試し、拒絶されるとあっさり引っ込めますが、かなりどっぷりと浸かってしまうと「相談がある」と深刻な顔で現われ、自説をとうとうと述べます。へきへきとしますが、それまでの本人の努力やがんばりを知っていると、むげにもできず、相手の話を聞いた後に自分の考えを言い、最後に一冊の本を薦めます。

 それはエーリッヒ・フロムという1900年にドイツに生まれたユダヤ人社会学者の書いたもので「自由からの逃走」という本です。私は「自由万歳」と脳天気に考えていた大学の一年の時に読んで衝撃を受けました。1900年生まれ、ドイツ、ユダヤ人と聞いてピンと来るでしょうが、ナチスと向き合った、ナチスがどうして生まれたのかを考えた抜いた社会心理学者の書いた代表作です。

 その一文に「外的な権威から自由になり、ますます独自性を獲得していくことと、他方において、ますます孤独がつのり、その結果として個人の無意味さと無力さの感情が高まっていくこと」という文章があります。外的な権威というのは封建時代以降の国家や宗教の縛りのことで、それらと戦い解放を勝ち得たにも関わらず、束縛から解放され自由を得た人間は、誰にも干渉されない代わりに、誰にも依存することができない孤独な状態となります。そして、この孤独感が膨らむと「帰属」による安定を求めて、自由という重荷から逃走し始め、そういう心理がファシズムを生む土壌となると述べています。

 女の子の場合、家庭環境の違いはありますが、学校生活をおくるうちはあまり自分の女性性に引け目を感じません。でも、いざ社会に出ようとすると、とたんにいろんな壁にぶち当たります。それでも、自分で道を選び、自分を貫いて頑張って来て、あげく孤独に打ちのめされ「帰属」を求めたとき、甘美な言葉でささやくのが占いやヒーリング、スピリチュアル、心霊治療などです。

 自由は自己責任がともなうので大変だし、孤独なものですが、自分自身の納得のために大切なものでもあります。占いでもスピリチュアルでも人の決めたことは所詮人の頭で考えたことで、どんな結論になろうと自分の頭で考え、自分が納得したものにしか責任は取れません。また、うまくいかないとき、「洗脳された。」と言って責任転嫁できるほど、世の中は甘くありません。

 私みたいなおばさんは「そんな安っぽいものに自分をゆだねてはいけない。」「自由を捨てた抜けがら人間の顔より、悩んでいるあなたの顔の方が美しい」と若い人に言うしかないのです。

 中島さんも女芸人という大変な道を選び、切り開いた自由人なのだから、自分で選んで穴から這い出てもう一度、腹の底から笑い、また笑わせて欲しいと思います。ただ昨今、ちんけな占い師や怪しげな宗教ではなく、現状打破という一点で政治的受け皿が出来て、最初は懐疑的だった世論も雪崩をうって支持し始めたとき、苦しさのあまりに「自由」から逃走する人たちの「帰属」先となってしまうのではないかと本当に心配です。

 

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