イラスト:鈴木ハルナ


オンリーワン同好会

相談員長野が運営委員として参加するオンリーワン同好会(ボードゲーム、ソリティア)です。 よかったらのぞいてください。

Amazon販売サイト

Amazonでボードゲーム“ソリティア”を販売しています。

YAHOO! ショッピング シグネット制作部

YAHOO! ショッピングでボードゲーム“ソリティア”を販売しています。

老後の住まい

画像をクリックするとアマゾンの紹介ページへ飛びます。

中高年のダイエット

画像をクリックするとアマゾンの紹介ページへ飛びます。


Home 相談員のコラム 相談員コラム…エンディングシート

PostHeaderIcon 相談員コラム…エンディングシート

 
 前回の続きをと思ったのだが、それはまたの機会にして、私が今取り組んでいることをお話しよう。両親は老人ホームに夫婦で入居している。
1年前は手術だ、入院だと大騒ぎだったが、いまは低レベルながらも安定した生活を送れるようになった。

 隔週で会いに行くのだが、前回行く前に連絡を入れると「テープレコーダー持って来てくれや」と父に言われた。思い出話でも録音したいのかと思っていたら、意外にも相続のことを話しておきたいと言うのだ。

 今まで「遺言書いたら」とか、市販のエンディングノート(最近流行の分厚い終活ノート)も買って渡してあったのだが面倒くさいと手をつけず、あれやこれや葬式や相続の事を話すのは大好きなのだが、如何せん会うたびに違うことを言うし、整合性もとれないことだらけで、お手上げ状態だった。

 せっかくの機会なので言いたいことを話してもらい、よくわからない所は質問し、ついでに相続だけでなく、日常のマネージメントは誰がするのかとか、土地売買の代理は誰とか、終末医療の治療方針、葬儀やお墓のことなど聞きたかったことを根掘り葉掘りたずね、1時間15分ほど録音した。それを持ち帰り概要を箇条書きで1枚のシートにまとめ「○○のエンディングシート」とタイトルをつけた。べつに「○○の覚書き」「○○の頼み事」でも何でもいい。

 これを本人と兄夫婦に送り「直したいところや納得できないところ、聞いておきたい事ある?」と尋ね、若干の修正をして印刷した。その時点での本人の意志ということで、父に日付とサインをしてもらい、コピーしてみんなに配った。要するに高齢者の意志を文章化し、まわりの家族と共有する作業だ。

 正式な遺言書ではないし、一冊のエンディングノートでもないが、なかなかいいアイデアだと思っている。理由は3つ。

①遺言書やエンディングノートは基本的に死後に開くものだ。ああして欲しい、こうして欲しいと一方的に書いても、読んだ人が受け入れるかはまた別の話。「何でわたしが」とか「これどういう意味」と思われないためにも、相続人や関係者の理解や納得は必要だ。その点エンディングシートは関係者に事前に相談があるので、意見や再質問ができる。これならもめにくい。しかも、関係者に公表するので遺言書やエンディングノートのようにせっかく書いたけど、後を託する人が存在を知らないという残念な事もない。

②私もFP的には公正証書遺言を推奨するのだが、「正式な」ということにこだわると費用もかかるし、やり直しがきかないのではと皆さん躊躇する(実際、遺言書は何通でもOKで、日付の新しいものが有効となる)。エンディングノートも思い入れが強すぎて、書き直しがしにくいのが難点だ。実際70歳台で書いたものは90歳になるとほとんど役に立たない。また、実務では法定相続人全員が異議申し立てしなければ、どんな形で意志を残しても問題ない。簡潔な一枚のシートで充分意志は伝わる。

③人間はいったん決めても気が変わる。一枚のシートなら直したいところを修正して、日付を新しくしてサインするだけ。直しがきくというのは気が楽だ。改ざんが心配なら、正月など関係者が集まった時にみんなの前でサインして「はい最新版」とコピーをわたせばいい。

 ミソは一枚のシートにすること。人生の集大成とばかり力が入り、長々と良いことを書かねばと思いがちだが、結局言いたいことは簡潔に書けばスッキリ一枚で済むし、人にも伝わりやすい。何を力んでいたのかと拍子抜けするほどだ。

 私の場合「ちゃんと後のこと書いといてよ」と父にずっと言ってきたのだが、頭はしっかりしているとはいえ、これは90歳を超える年寄りには荷が重かったようだ。ただ、子供たちに伝えておきたいという気持ちは強くあり、今回のような形になってよかった。

 何でも本人の希望通りにいくとは限らないが、ある程度の意志がわかっていれば、まわりの人間は判断に悩まなくて済むことは多い。とくに介護期間のマネージメントやお金の管理、終末期の治療方針や葬儀やお墓、残された家の処分、悩ましい問題はハッキリ意志を伝えてくれて大助かりだ。心づもりができる。

ただし兄弟仲が悪いとか、もめそうな気配がする場合は法的強制力をもった「公正証書遺言」が良いだろう。

※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。