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イラスト:鈴木ハルナ


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PostHeaderIcon 相談員コラム…高齢出産のつけ ~せめぎ合う教育費と老後資金~


 少子化にも関わらず、医療の向上、女性の生き方の多様性のために高齢出産は増えている。私も17年前に37歳で高齢出産した。出産のリスクや育児の体力的大変さはあるものの、子供を持つことでまったく知らない世界に出会えて良かったと思っている。ただ、わかっていたこととはいえ、子育て期間が後ろにずれた。私が現在54歳、つれあいが61歳なのに、息子はまだ高校3年生。大学進学希望なので、まだまだ子育て真っ最中である。そんな経験を踏まえ、高齢出産の教育費について考えてみようと思う。

 教育費は「家を買うのと同じくらいお金がかかる」といわれる。幼稚園入学から大学卒業までの教育費(学費)はすべて公立で進むと約1000万円、私立で進むと約2300万円かかる。もちろん、家を買うように全額がすぐに必要な訳ではないが、準備しないで工面できる金額でもない。

 出産した1994年のころ、私はFPでもなく、教育資金なんてよく知らなかったが「子供が生まれたら学資保険」と何となく洗脳されていて、すぐに郵便局の人に来てもらって学資保険に入った。バブル期に貯めた預金をはたいて上限(高校入学時200万円、大学入学時に300万円)を全額前納で一括支払いした。今振り返ると子供を産んでうれしくてハイになっていたとしか思えない。しかし、結果的には中学から私立に行ったので、大いに学資保険に助けられている。(今なら学資保険の他にもっと有効な方法がある。)

 用意周到のはずだったが、2つの誤算があって、今でも教育費は家計の重圧となっている。ひとつは経済の浮き沈み。これは個人の責任ばかりではないが、バブル期の少しあとの出産だったので、その頃は2人ともガンガン稼いでいたし、何となくずっと稼げるような気がしていた。しかし、ここ数年の落ち込みで収入が減り予測がつかない状況だ。

 もうひとつは世代間ギャップ。当たり前なのだが20歳で生むのと40歳で生むのでは一世代違う。子育てというのは自分の経験を重ね合わせるものだが、自分の経験が役に立たない。実際子育てにこんなにお金がかかるとは思わなかった。私が育った頃は田舎だったせいもあるが、習い事といえばそろばんかお習字、ヤマハ音楽教室ぐらいで、学習塾はなかった。大学にしても、つれあいは1970年代の地方の国立大学出身で年間授業料が12,000円、これ月額じゃなくて年額だ。私も私立の文系大学で13万8千円。しかるに息子が目指す私立文系は100万円。何となく他の物価からかけ離れた上昇率だ。出産時の目算とはかなり違ってしまったが、子供が一人なのでどうにか切り抜けられるだろう。 

 通常50歳台で子育てが終われば、その後60歳の定年までに自分たちの老後資金を準備できる。実際、高収入時で教育費がかからないこの時期は黄金期と言われ貯蓄率が最も高くなる。残念ながら高齢出産すると子育て期間が後ろへずれ、この時期がない。最悪の場合は、定年を迎え年金支給までの空白時期に子供の進学とぶつかる。老後資金どころか教育ローンを抱えての老後になるかもしれない。高齢出産すると教育費に押されて老後資金が貯められないことが多くなり、これが後になってボディブローのようなダメージとなる。

 だから、子供は早めに産もうなどと言うつもりはサラサラない。子供を持つ時期は個人的事情によるし、何より欲しい時期がその人に取って最もいい適正期だ。ただ、FPとしては、高齢出産は出産時のリスクだけでなく、自分の老後にとっても大変だという事も理解して欲しいと思う。以下、高齢出産における教育費確保のポイントをあげておこう。

①出産時からすぐ準備する。

②もし預金があれば思い切った額を教育資金として取り分ける。

③お稽古事や塾、クラブ活動などの費用は家計費で賄う。

④親が出せる範囲を決め、老後資金を確保する。

⑤教育資金は長期に渡るので、学資保険だけでなく、一部を投信やETFなどで運用する(前にこのコラムに書いた“学資保険のメリットデメリット”を参照して欲しい。)

 特に④、子供の為なら何とかしてやりたいのは親心、でも老後に路頭に迷っては返って子供に迷惑をかけてしまう。昨今、大学を出た程度で親に仕送りできる経済的余裕のある子供などまずお目にかかれない。

 また、子供に奨学金を利用させる場合の注意点としては、全額を奨学金に頼るのではなく、何としても200万円程度に納める事。卒業後、うまく就職出来たとして、社会のスタートラインで500万円の借金と200万円の借金とでは大違い。500万円だと10年返済で月額4.2~5万円の返済になる。うまく就職出来ても、ボーナスが必ず出る保証もないし、手取り十数万円の中から支払うのは至難の業である。ちょっとしたつまずきで破綻するし、将来も描けなくなる。200万円なら月々の返済額が1.6~2万円で、どんな仕事でも働けば返せる金額で、家計管理も身につく。

 というので高齢出産における教育費確保は、生んだ時点でドンと三分の一くらいのめどを立てて取り分け、あとはコツコツ毎月積立てる。それでも足りないときは奨学金という三段階で準備したらいいと思う。

※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。