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PostHeaderIcon 相談員コラム…事実婚は損か得か⑤


 今回は事実婚の実務について、案内したい。

 先日、知り合いの60代の夫と50代の妻の子供の居ない事実婚カップルで、女性が亡くなられた。何十年来のカップルであったが、女性の方が10歳も若かったし、急死だったので遺言書はないそうだ。こうなると法定相続では女性の財産のすべては女性の親族が相続するので、男性には一切の権利がない。しかも女性名義の住宅に住んでいたので、相続人となった兄弟から明け渡しを求められて困っているそうだ。「遺言書さえあれば」の典型的事例だ。事実婚では相手は法定相続人にはならない。もし、相手に遺産をあげたければ「遺言書」は必須だ。「事実婚するなら遺言書」と覚えて欲しい。

 私たちも遺言書の必要性は理解していたがぐずぐずしていて、やっと数年前に「遺言書」と「委任契約書」をつくり、公正証書にした。「遺言書」はそれぞれに、①共有名義のマンションと共同運営する会社の株を相手に遺贈する。 ②残された方を子供の親権者とする。2人同時死亡の時の未成年後見人の指定 ③相手を遺言執行人として指定する、という内容だ。「委任契約書」というのは死なないまでも、動けなくなったときのため作成したものである。内容は事実婚の確定と、病気・ケガや要介護などのときの代理権を相手に与えるというものある。実際に活用したことは無いので実務でどこまで通用するかは、病院や行政機関、保険会社、銀行などとの交渉次第だが、なにかあったら本人(相手)の意志を第三者が確認できるので心強いと思う。

 「公正証書遺言」は裁判所の検認という手続きがいらないのでベストだが、費用や手間がかかる。「自筆証書遺言」であれば、最近コクヨなどで書き方の解説付き作成キットが2000円程度で売られているので、すぐに取りかかれるし、書き直せば内容の変更もできる。前述のように、これがあると無いでは、万一の時、雲泥の差となる。

 最後に、お金の損か得かを問われれば、事実婚で相続が発生した場合、かなりの資産家であれば「配偶者に対する相続税の軽減措置」を使えないし、相続税が割高になるので損になるが、普通の資産の人はあまり関係ないかもしれない。たぶんウチも関係ないと思う。また、こうした妻の座の恩恵も政府の財政事情で徐々に減らされて行く可能性が高い。残るのは対外的な問題と気持ちのありようかな。

   「結婚して一人前」とか「離婚は世間体が悪い」というのも、これだけ結婚がむずかしくなり、離婚も増えている現実の前では、もはや意味はないし、第一、世間体のために結婚したり、離婚をためらったりしてもいい関係はできないのではないだろうか。事実婚は法律婚のように2人の関係を世間が保護してくれない。あくまで自己責任なので、夫や妻の座に安住はできないし、関係を継続させる意志だけが続けるエネルギーとなる。もちろん長く続ければ生活の惰性は付くので、始めたころの緊張感は続かないが、それでもこの吹きさらし感を不安と思うか自由と思うかは本当に人それぞれだと思う。

※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。