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イラスト:鈴木ハルナ


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PostHeaderIcon 相談員コラム…「ラストマネー」から生命保険を考える①

 NHKで「ラストマネー」という、生命保険の査定部を舞台としたドラマが始まった。警察や学校はしばしばドラマの舞台になるが、保険会社なんて初めてではないだろうか?  第二話まで放送されていて、FPとしては興味津々で見ているが、視聴率は6~7%台とイマイチのようだ。
   これまで見て思うのは、生命保険ってみんな加入しているけど、本当にわからない商品だなあということだ。ドラマでもそのわからなさがキモになっている。このわからなさが面倒と思うか面白いと思うかが、今回の視聴率に表われているのではないだろうか。でも突っ込み所満載なので、ちょっと私の感想を交えて解説しようと思う。

 まず、第一話は交通事故死の生命保険金の受取人の話。自動車の自損事故で同乗者のうち夫と妻そして二人の子供が死亡し、妻の母親だけが生き残る。夫に掛けられた生命保険が6000万円。保険会社は「同時死亡」として取り扱い、妻の両親を保険の受取人とする。これに夫の両親が「息子は最後まで生きていたので半分の3000万円寄こせ」という主張をする。

 通常の相続は被相続人(死んだ人)から相続人が相続するが、相続の関係にある数人の者が特定の事故や事件などで死亡し、誰が先に死亡したか明らかでない場合、同時に死亡したと推定する。これが「同時死亡の推定」である。

 取り扱いとしては、相続時に生きていない人は相続せず、同時死亡した者間の相続はできない。このドラマの場合、夫の相続は妻が先に死亡したものとされているので、夫の両親が法定相続人となる。逆に、妻の相続も同様に妻の両親が法定相続人となる。例えば預貯金や不動産などの資産があった場合は夫の資産は夫の親族が受け取り、妻の資産は妻の親族が受け取る。

 それなら生命保険の受け取りも夫の両親になりそうだが、過去に裁判でもめにもめたらしく、最終的に2009年6月の最高裁第三小法廷で同時死亡の場合、妻(指定受取人)が受取人の生命保険は妻の親族のみが受け取るという判例が出たため、このドラマの生命保険の6000万円は受取人の妻の両親が受け取る事となった。しかし、同時死亡でなく、妻が先に死亡した場合は夫の両親に権利が発生するのだ。

 ドラマは結局、夫が最後に死んだことが妻の母親の証言からわかり、かつ「子供や孫が死んで金なんかいらない」と妻の両親が放棄したので、夫の両親が全額受け取る。ドラマにするために、悲しむ妻の両親と強欲な夫の両親という設定だが、逆だったらと考えると、何となく釈然としない。第一、強欲かどうかとかその人の事を思っていたとか、人柄の善し悪しなんて保険金の受け取りに全く関係ない。お金が絡むと妙に潔癖になる人がいるが、生命保険は所詮、保険会社の商品でしかない。情に流されすぎだぞ、NHK!。

 もう一点釈然としないのだが、ドラマをわかりやすくするために生命保険のみクローズアップされていたが、自動車の死亡事故の場合で問題になるのは、自動車保険(損害保険)だ。当然、死亡保険金が発生したと思われるが「金なんかいらない」と言ったあの両親は受け取ったのだろうか? 気になる。

 同時死亡の場合の生命保険の受け取りなんて、自動車事故や飛行機事故で滅多に無いと思っていた。しかし、今回の大震災で家族が一度に流されたケースが多く、同時死亡か否かによって残された方のその後の生活が大きく変わることもあり、急に身近になった感じがする。

 次回は第二話の解説で「自殺と事故死」を取り上げる。

※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。