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PostHeaderIcon 相談員コラム…仕送りと生活保護から考える食費①


 4月6日の毎日新聞によると、昨年入学した自宅外通学生の仕送り額が東京私大教連の調査で、12年連続で過去最低を更新したそうだ。保護者の税込年収は860万円で昨年の900万円から40万円減。月平均仕送り額はピークだった94年から30%減って8万9500円。その内平均家賃は6万1800円で、仕送りから家賃を除いた生活費は2万7770円、1日あたり923円となる。

 一人暮らしの光熱費は総務省の家計調査で平均月に1万875円、切り詰めても最低、電気ガス水道で7000円はかかるだろう。今どき携帯電話はスマホだろうし、これに6000円、交通費だってかかる。家賃を引いた残りの2万7770円からこんな費用を引くと食費として使えるのは1万2000円ぐらいとなる。30日の単純計算で1日400円だ。これでは暮らせないので、バイトしてやっと食べていける状態だ。それでも使える食費は2万円程度、自炊と外食で1日700円ぐらいで暮らしているのが実態だ。学食やラーメンはもはやぜいたく品で、カップ麺と牛丼ばっかりという学生も多いようだ。

 一方、4月10日の朝日新聞の生活欄に「無年金 頼りは生活保護」という記事が載っていた。この記事に登場する男性(83)は生活保護歴10年で、月11万7千円の保護費から家賃4万2千円を引き、残りの約7万5千円が生活費で、食費は4万円弱で1日1300円を目安にしているそうだ。取材を受けた日の夕食は100円ショップで買ったカット野菜の炒め物。そして、保護費の老齢加算が段階的に廃止され、大切な人の葬儀の香典や墓参りに行くお金の余裕がなく、申し訳なくて泣いたそうだ。

 この記事だけ読むと切なくなる。でも、たまたま数日前の前述の仕送りの記事が頭にあったので、1日の食費という点が引っかかった。1日1300円の食費はFP的に言ってぜんぜん惨めじゃない。いろんな家庭の家計診断もするが、食べ盛りのいる子供のいる家庭だって、月4万円の食費なんてざらだ。この記事を書いた記者は外食ばっかりで、1日1300円でどうやって食べるのだと思ったかもしれないが、そんな家計感覚が食費をろくに検証もしないで、ステレオタイプの記事を書かせている気がする。

 私は生活保護パッシングに荷担しようとは思わない。むしろ、日本の生活保護の補足率(本来もらうべき人がもらっている率)が20%台と先進国の中でも飛び抜けて低い事態を憂慮している。それでも、人の金銭感覚、とくに食べ物に関する費用の不正確さは記事そのものの趣旨を台無しにしている。

 1日の食費が仕送り学生1日700円、生活保護の方1300円。この金額が惨めになるか否かは、本人に生活力、もっと言えば自炊力による。すべてを外で済まそうとすれば、外食ならマックか牛丼、お弁当もスーパーの格安弁当に頼らざるを得ない。栄養バランスも悪そうだし、決して豊かとは言えない食生活だ。しかし、自炊さえすればまったく話は違って来る。自炊も初級、中級、上級があり、上級者ともなると、少ない食費で「自炊リッチ」と言える素晴らしいごはんが食べられる。次回は「自活は自炊から」ということで、もう少し食生活の問題を考えたい。

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