子どもの頃、寝る前に祖母が「寝るより楽はなかりけり、浮き世の馬鹿は起きて働く」と
よく言っていた。寝る気満々である。
あなたは寝るときに「惜しい」と思うか「楽しい」と思うか。
私は絶対後者だ。
睡眠時間8時間、できれば9時間は寝たい部類なのだ。
眠ることは至福であり、惰眠をむさぼる快楽が至上と思う。
睡眠時間を削ってまで、しなくてはならないことなど世の中にほとんどないというのが私の持論だ。
念のため言っておくが勤勉とは関わりない。私はけっこう勤勉で、かつ良く寝るのだ。
家でも、朝からよく働く祖母や父親は、昼食後よく昼寝をしていた。
だから小学校の時、ラテンの国々でシエスタすると聞いて「うちと同じだ」と思った。
でも、世間ではそうではない。睡眠時間をいかに削るかにしのぎを削っている。
「ほとんど寝ていない」というのは自分がいかに頑張っているかというアピールだ。
上司が「あいつはいつ寝てるんだ。」というのも有能な部下へのほめ言葉である。
しかし、経験則から言うと、寝ないでした仕事はほとんどやり直しが多かった。
バブル全盛の頃、私は印刷の仕事をしていた。お得意さんは中堅の広告代理店。
仕事量も納期もきつい仕事ばかりだった。午前1時とか2時にタクシーを飛ばし納品すると、
こうこうとした職場でデザイナーさんたちは昼間と同じ仕事を平然としている。
いつもは無愛想なお偉いさんが「こんな時間にありがとう!」と手も握らんばかりに感謝してくれた。
でもアドレナリン全開でやった仕事は入力ミスや校正ミスが多く、
結局あくる日の午前中は直し作業でつぶれた。
寝ないでした仕事は仕事として高揚感はすごくあるが、中身はあまりともなわない。
充分に睡眠をとったクリアな頭の方が絶対仕事ははかどる。
仕事の現場で頑張るというのが睡眠時間を削るという意味にならないよう願うばかりだ。
※前の記事は左の「相談員のコラム」で読めます。